取材レポート

交告製材株式会社訪問記

木材団地

残暑厳しいこの日、各務原市須衛町にある岐阜木材団地の一角にある交告製材(株)を訪ねた。なんで各務原市に木材団地があるんだろうなんてなことを考えながら、須衛町に入る。

すると突然、丸太や木の板が積まれた景色が目に飛び込んできた。こういった材木関連企業から成るこの団地は昭和52年にできたというから、もう40年以上の歴史があるのだ。目的地の近くまで来たものの、交告製材(株)の看板が見当たらず迷ったが、予定時刻前に到着。事務所では纐纈正憲社長が迎えてくれた。

県産材へのこだわり

大手ではないこの交告製材さん、こだわりの一つはやはり県産材だった。長良スギと東濃ヒノキだ。聞くと、扱っているのはそれぞれ半々程度だそうだ。

東海木材相互市場などの地元の市場や県森連などから購入した原木を製材、乾燥し、それを挽き直して製品にしている。ここも中心部分は柱用に、残った部分を羽目板やフローリングにしているとのことだ。

近年の和室の減少に伴って、柱の市場が縮小しているため、当然ながら苦戦のようだ。柱を中心にしてきた業務内容を、やむを得ず並材の方にシフト。こうなると、大手との市場競争になるが、どうしても勝てそうもないので、生き残り策を考えることになる、こういうストーリーはここだけではない。

細かい注文にも対応できる体制

そこで考えたのが小回りのきく商売。具体的には何か。その一つは、細かな注文に対応するようにすること。そして徹底的に地元の材にこだわることだったと纐纈社長。

実際に家を建てたい人は地域材にこだわる人は現実にはそんなにはいない。農産物では地産地消とよく言われ、推奨もされているが、住宅は一生に一度あるかどうかの高い買い物だ。地域材推奨の意識付けの努力をしたとしても、施主さんが地域材を希望してくれるとは限らない。

考えてみれば、工業製品では全国同一の規格がきちんと決まっている。だが、木材はそんなわけにはいかない。纐纈社長は、このあたりの木である東濃ヒノキとか長良スギは強度も粘りもあるとのこと。

そこで、纐纈社長にDR.みのりんの素人考えをぶつけてみた。このあたりの住宅用にはやはりこのあたりの気候、土壌で育った木を使うのが合理的ではないか、なぜなら木は切って住宅用に使われても、それらはその気候の中でまだ“生きている“からと。これについては、社長は半分程度うなずいてくれた。この点が理論的にも実証的にも認められたら、立派な売りになるはずだ。

お客様の要望に合わせて

纐纈製材(株)のもう一つのこだわりは、例えば自分の山で切った丸太を持ち込んで、それを用いて自分の家を建築したいといった要望があれば、それの賃加工も行うといったことだ。なるほど、この発想にはDR.みのりんも大いに納得だ。そんな家にはすごい愛着がもてるのだろうなあ。自分で栽培した野菜の味は格別であると同じように。でも冷静に考えて見ると、家庭菜園とは違って、実際にはそんなにニーズはないはずだ。でもこういったチャレンジングな発想で日々努力されている社長を応援したくなった。

木材には乾燥という非常に大切な工程がある。この日も低温・中温乾燥と高温乾燥の装置を詳しく見せてもらった。前述した賃加工と同様、賃乾燥もありとのことだった。

生き残りというといささか後ろ向きかもしれないが、中小企業でしかできないビジネスで勝負する。ニッチと言えばニッチだ。DR.みのりんは、以前にカラフルで自由に曲げられて洋服などにも取り付けられるファッショナブルなプラスチック太陽電池の開発に携わったことがあるが、これも、合理性を追求した高効率シリコン太陽電池に対して、ニッチな市場開拓を狙ったものであった。

非常に誠実な対応の纐纈社長の姿に、中小企業の生きるためのポイントを見る思いがした訪問であった。