取材レポート

中国木材株式会社 名古屋事業所訪問記

ドライブ日和、港まで一気に

関東や東北に甚大な被害を与えた台風19号が過ぎ去り、爽やかな風が吹き抜ける快晴の中、弥富市の名古屋港に面した所にあるという中国木材名古屋センターへ。ひたすらナビを頼りに、愛西市立田の一面に広がる黄金の穂波が揺れる稲田、ちょうどレンコンの収穫期に当たる蓮田を快走したまでは良かったが、賢くない古いナビの妨害(笑)で道に迷い込んでしまった。ちょっとした渋滞も重なり、結局、20分遅れでなんとか到着。

ユニークな社屋に圧倒され

広~い敷地。事務所の建物、2003年にグッドデザイン賞に輝いたという実にユニークな建造物だ。屋根が湾曲している。スギの板材を吊り下げているという。その関係で天井に灯りがつけられず、昼間は主に下からの照明に頼っており、暗い印象を受ける。デザインと使い勝手とは別物のようだ。

事業内容の説明を受ける

例によって、まず中原良一係長から本企業の説明を受ける。ぎふの木ネットでは国産材、いやもっと言うと県産材の利用促進が目的。と思って話を聞き始めると、中国木材の中心は圧倒的に北米産のベイマツだった。バンクーバーなどから専用の船で鹿島、日向にある中国木材専用の岸壁に運搬、その岸壁に隣接して工場、事業所があるという都合の良さ、大企業でしかでしかでき得ない仕組みだ。

ここ名古屋センターにも専用の岸壁があり、この日はラッキーにも別の工場で製材された資材が大きな専用船で運ばれて、積み降ろし中だった。どれだけ積み込めるのだろうか、想像以上にデカい船だ。

ドライビーム

ここの主力商品はドライ・ビームと呼ばれるベイマツの乾燥材。天日でゆっくりと乾燥する時代ではなくなり、人工乾燥がいのちの今、ここも木の乾燥には人一倍神経を使っている。中国木材にはなんと1,000基ほどの乾燥機があるとのこと。切り出した木は本来、100%とか200%との高い含水率である。十分乾燥しないと変形や縮みの原因になるため、建築資材用には含水率20%以下になるよう乾燥される。乾燥工程はここのノーハウだ。これにより乾燥された商品がドライ・ビームというわけ。ビームというのは光線のはずだがと思っていたDR.みのりん、聞くと梁や桁のことってこと。知らなかった。中国木材(株)には合わせて1,000基ほどの乾燥機があるが、乾燥機1台が一千万円以上もする高価な機械。小規模事業者にはなかなか手が出ないので、やむを得ず撤退するしかない。こうして中国木材のひとり勝ちの状況になり、ベイマツ製品の8割を占めるに至ったという。

国産材の活用も

なお、こういったベイマツの無垢材や集成材だけかと思ったら、ちゃんとスギもあった。それは両面をベイマツの板でサンドイッチされたスギ板で構成される集成材だ。ということは、表面には出ない影の役者なのだ。ベイマツに比べてスギは強度が低く、割高だそうである。でもここの社長はスギの利用を拡大したいと考えておられるとのことだった。

最近、この会社は山を買っているとのこと。持ち主がよくわからなくなっている山、手放したいと思っている山林地主も少なくなく、有効に利用されていない山を購入して育苗から伐採まで行おうという話である。そこから切り出して最終製品までにし、製材過程などで発生した端材やバークはチップ化して自社内のバイオマス発電に使う、まさに木材をゆりかごから墓場までを面倒見ようというわけだろう。大手のみができる壮大な事業だ。

今まで、スギ、ヒノキといった県産材にこだわった企業を中心に回ってきたが、今回は全国規模での事業を展開する企業から我が国の木材業界の実情を知ることになり、視野が広がった気がする。