取材レポート

キミドリ建築訪問記

キミドリ?

雨の予報があったものの、例によって晴れ男と晴れ女コンビの勢いか、薄曇りで真冬にしてはやけに暖かい。
1月24日、山県市にあるキミドリ建築という一風変わった名前の建築屋さんを訪問。カーナビの案内で水栓バルブの工場が集積する山県市美山地区の一角に到着すると、いきなりサッカーボール状の構造物が目に飛び込んできた。クレーンでそれを地面に下ろしている。ここだ!一人の男性が我々を迎えるために用意してくれていたのだ。

みのりん サッカーボールに入る

いきなり大きなサッカーボール

あいさつもろくろくしないうちに、この構造物に目が釘付けになったDr.みのりん。背丈より少し高いくらいのまさにサッカーボールをデカくした構造物。配色も白と黒だ。優しい表情で早速、説明してくれたこの人がここキミドリ建築代表の恩田久義氏だった。
早速、彼が正6角形のハッチを開けてくれたので、中に入ってみた。中には数名は悠々座れるスペースがある。確かにこの中で何かできそうだ。静かに考え事をしたり、読書を楽しんだり、今時の子どもたちであればゲームを思い切り楽しめそうだ。面白いのは近年頻発する洪水の際に、水に安定して浮かせられること。遊び心たっぷりの中でも災害に強い建造物なのだ。もともと恩田代表が20年前の東海豪雨をきっかけに思いつき、着手してかれこれ20年に実績を誇るという。

サッカーボール型のシェルター

サッカーボールの形状は、12個の正5角形と20個の正6角形の32面体から成り、構造的にも強いとのことだ。となると、地震の際にもこれに逃れることも可能かもしれない。室内に小型のこれをシェルターとして置いて、仮に揺れ始めたらこの中に飛び込むことによって、家の倒壊時にも助かるかもしれないなどと想像してみる。

住宅づくりに関わることは何にでもチャレンジ

手作りの看板の前で

40代とDr.みのりんにとっては息子世代の恩田さん、早く仕事を身につけたいと、中学を出てと同時に大工の仕事へ。様々な仕事をしながら、次々と資格をとる。1級技能士、2級建築士、住宅断熱施工技術者、職業訓練指導員、増改築相談員、型枠支保工、足場組立作業主任者、大型特殊 高所用作業車、移動・固定式クレ-ン、小型建設機械運転、木造建物作業主任者、住宅省エネルギー技術者、1級小型船舶など、まさに枚挙にいとまが無い。仕事をしてゆくうちに次々と興味がわいてきて次々と勉強して資格を取ってきた。もちろん今でもその好奇心は衰えることを知らない。これからロボット関係の資格も取りたいとのことだ。自分も好奇心は強いと思っていたDr.みのりんも完璧に圧倒されてしまった。

こだわりの家づくり

キミドリ建築はサッカーボール型住宅で有名であるが、本来はお客様の希望に応じた住宅造り、つまり注文住宅を特徴としている。普通のハウスメーカーとは異なり、例えば「赤毛のアンの家のようなお家をつくりたい」などといったという相談があったら、その希望に添うように、お客さんと一緒に考えながら設計し、実際に基礎工事からすべてを行うとのことである。その際、お客様がDIYのようなことで作業をシェアすることもありという。楽しいがモットーの恩田さんの考えがここにある。こういった設計から部材製作、建築に至るまで、すべてここでやりきるという。その力に改めて驚かされた。

恩田さんと記念ショット

何でも作ってしまう、恩田さんは会社敷地の近くになんと神社(神明神社)やお地蔵さんも作ってしまった。いずれも恩田さんなりの遊び心が見られるデザインがささやかに入っている。人生って本当に面白いもんだと語っているようだ。

3階建てのサッカーボール型住宅(山県市)

帰りに、恩田さんの案内で、山県市内にあるサッカーボール型住宅の一民家を少し離れた場所から見せてもらった。写真で分かるように、周辺の通常の住宅地の中につその姿はとてつもないインパクトを与える。両隣の2階建ての建物も十分立派で大きいが、それらよりも一階分高い。3階建てなのだ。カタログにあるLサイズであろう。1階は約15畳、2階はキッチン・ダイニング、リビングで約30畳、3階はキッズルームやカラオケルームなどのために約30畳、これがカタログにある例である。実際の家の中はどうなっているんだろうと強い興味を感じたが、他人の家に許可無く入るわけにはいかない。

 この日は驚くこと満載、興奮たっぷりの見学であった。