その他

アイギハウジング

アイギハウジング 保母社長×ぎふの木ネット協議会会長 吉田会長

木が感じられる家づくり

まずはアイギハウジングさんの住宅へのこだわりをお聞きしたいですね。今までかなりの棟数を手掛けてらっしゃると思うのですが。

まずは土台と柱を桧で、今までは米松を使っていましたけども今年からは全て国産材に切り替えつつありますね。また、床は無垢板のフローリングを使用しています。あとはカウンターなどに一枚板を使うこともしています。加えて、省エネということで高気密高断熱を目指してやっています。

となると、素材にはできるだけ無垢のものを使用していると。断熱はどういう仕組みでやっているのですか?

吹付断熱が多いですね。あとはシートを使うこともあります。

デザインについてのこだわりはありますか?

そうですね、最近だと素材をそのまま感じてもらうようにしようとしています。また、素材をうまく組み合わせてデザイン性を高くみせるように意識しています。例えば塗り壁と木を合わせたり、ガルバリウム鋼板と板張りを合わせたりといった具合です。あと最近は軒がない家が多いのですけど、当社は軒を出してかつデザイン性の高い家を心掛けています。やはり、軒のあるなしでは外壁のメンテナンス性が異なってくるのと、ひさしで窓に影をつくることができるので断熱・遮熱の意味でも大切だと考えています。夏の太陽が高い位置のときは日差しを遮ることができて、冬の太陽が低いときはある程度日差しが入るようにバランスをとっています。

そこは結構ポイントですね。家のテイストとしては洋風とかシンプルモダンとか和風とかいろいろあるけれど、そのあたりのこだわりはあるのですか?

うちは割とお客様に合わせているのでシンプルモダンも和モダンも純和風もできますが、どこかで木を現すようにはしています。当社にくるお客様で木を感じさせないデザインにしたいという方はあまりみえないですね。

木に愛着がある家の実績をこれまで積んでいらっしゃるので、見学会などで見るとやはりそういうのがいいなとなるのでしょうね。

集客の基本が毎月行っている完成見学会なので、それを見にきてくださるお客様も多いですね。どうしても完成が間に合わない際はモデルハウスを使った見学会に少しイベントを混ぜて行っています。

モデルハウスはこの近くにあるのですか?

今はないですね。建売住宅が何棟かあるのでそれを見せています。

モデルハウスは半年から1年でどうしても陳腐化してしまいますから難しいですよね。次にお聞きしたいのが、アイギハウジングさんの特徴ある取組み、特に分譲住宅や不動産なども積極的にやってらっしゃるそうですが。これの方向性を聞いてみたいですね。

そうですね、最近は土地を分譲して家を建ててもらう形が多いですね。田舎普請の建て替えもだいぶ減りましたし。昔は60坪以上の大きい家がほとんどでしたが、今は35坪くらいの住宅も多く手掛けています。

どのエリアに多く家を建てているのですか?

恵那・中津川が多いですね。岐阜の方まではなかなか出てこないですね。ときどき多治見の方までいくこともあります。

ぎふの木ネットのブランド力向上を

ぎふの木ネットの会員様ということで理事にもなってくださっていますが、今後のぎふの木ネットに対する想いとか必要性とかについてお聞きしたいと思います。

ぎふの木ネットという一つのブランドを立ち上げて、まだ知っている方は少ないですからアピールなどをしていただいて、会員のよさを広めてほしいなと思います。また、ぎふの木ネットを通して少しでもコストカットを出来るようにしていただきたいですね。今まで60でやっていたところが59になって、1%でもカットできるような。もちろん、200棟建てているようなところと2棟建てているようなところが同じというわけにもいかないですし、非常に難しいところではありますが、メーカーとも相談していただきながら少しでもみんなにメリットがあるような仕組み作りをぜひとも考えてもらいたいですね。

アイギハウジングさん以外にもビルダーさんによっていろいろと話を聞いていますが、ああいうことができないか、こういうことができないかと意見を頂きますね。価格的なものもありますし、なかには例えば植樹をしてはどうかとかもっと山に還元した方がいいのではないかとかいろいろなことを言われる方もみえますね。あとはブランドについて、どのようにしてぎふの木ネットのブランド力をつけていくかがわれわれにとって重要で。これについてもお聞きしたいですね。こういうことをやったらいいとか。

植樹でもいいですけど、ほかにもどこかへ寄付したり新聞社を呼んでぎふの木ネットでこういうことをしたとアピールしたり、毎年少額でいいので森林組合に寄付したりとかでもいいと思いますね。

今の若い人たちはコンセプトをよく見ていて、それに共感するというのが多いのですよね。SDGsという言葉が浸透しているのもそうですし。例えばぎふの木ネットとしては、この自然を守っていきたいから木を伐って、森を管理していかなければならない。だから、木の家づくりをしていきましょうというような。これに賛同する方っていっぱいいると思います。私も元々他業界にいて、木を伐らなきゃいけないことさえも知らなかったので、それを知れば防災にもつながるし、自然を守るという意味でも繋がっていく。自然が嫌いな人ってそんなにいないと思って、たとえ都会に住んでいても自然に対する興味はあるし、それを前面に押し出してコンセプトに共感する人を増やしていけば最終的に木の家造りに繋がっていくのではないかなと思いますね。そのために (保母)社長がさっき言ったような具体的な対策で工務店に限らず会員を増やしていくのが大切だと思います。

なるほど。ぎふの木ネットは今いろいろな方が入るようになってきているのですよね。例えば畳店とかウッドチップをやってみえる方とか。それぞれの想いがあるのだと思いますし、最近だと多様性もあって、様々なキャラや異業種の方が集まってそこで話し合うことで、同じ業界の者同士が話し合っていても出ないような新しい商品であったり先ほど専務が言ってみえたような異素材の組み合わせでバランスがとれた空間を作ったりみたいなことも可能になると思います。

サプライチェーンについて

ぎふの木ネットは山を守る・人を守る・技術を守る・ITイノベーション・地域活性化の5つのテーマを挙げています。そこでウッドショックなどを受けて、今ぎふの木ネットでしっかりしたサプライチェーンを作らなければならないということになっている。そこで、山と製材所とビルダーさんの三者間提携を組んで、その中で構造材のパッケージ化を進めようとしています。しかし、山と製材所で一定期間価格を固定して一定の量を供給するまではいいが、ビルダーさんがやっぱり値段が下がったから外国産材を使うとなってしまうと、そこで山側に不信感が生まれてしまう。これについてはどう思われますか?

われわれは国産材を使うということを表に出していますので、何棟分使いますよと山と提携して下されば山側は売上が見込めますし、私たちも安心して建てられますのでありがたいなと思います。

一定期間価格を固定して供給するとなると、ビルダー側がコスト面でメリットが感じられる必要があると思います。やはり、私たちもお客様には高いコストパフォーマンスを提供したいので、圧倒的に安いものが出てきてしまうとそちらを優先しなければとなってしまいます。

こういうのも相場ですから、1年同じみたいなのは難しいかもしれないですね。外国産材の価格はクォーター制といいまして3か月ごとに値段を決めていましたが、国産材には今までそういう仕組みがなかった。でも最近山の方だと森林組合で、通常は市場で売るのですがロットがまとまった大きな工場についてはクォーター契約をして直接運ぶようになってきています。そうすると市場で売るよりも手間なく安く売れるようになるのですよね。そういう製材工場を使うのがわれわれの考えている三者間契約ですね。とにかく、まずはスタートを切って、岐阜で成功事例を作りたいですよね。私も先月製材工場や森林組合を回って話をしてきて。何とか向こうものってくれそうになっています。あとはビルダーがどれだけのってくれるかにかかっていますね。

宣言すればおのずと構築に近づくと思いますよ。

今は製材工場を3社くらいピックアップしています。今一番問題なのが平角で。以前話をした工務店さんも平角をアッセンブル(選別)してくれるといいと。私はメーカーに発注すればいいと返したんですが、メーカーだとひと月はかかると。在庫があちこちにあってなかなか家一棟分そろわないのですよね。その辺をある程度同じ丸太を使って、ITを使ってどこに在庫がどれくらいあるかが分かればアッセンブル出来るようになるわけで。そうなると処分したい在庫があればみなさまに「安くできるがどうか」という話も出来るようになる。構造材パッケージを考えるにあたり、山からしてみれば歩留まりをよくしたいわけですからなるべくサイズを統一してほしくて、それでかなりのコストダウンができる。ですから構造材パッケージをつくるにあたって、われわれもシミュレーションでいろいろ、こういう住宅でこうすれば安くできるみたいなのをしていますね。

最近、長さの長いものは自社で在庫として持っていてもいいかなとも思っているのですよね。値段が変わらないという方もみえるので。パッケージについては言っていただければそれに合わせて設計もできますし、土台と柱は桧がいいですけれど、それ以外は杉でもいいですね。

うちも在庫を持とうかという話になっていて、ちょっとした土地が本社の近くにあるので、倉庫を国産材のツーバイで建てられないかという話をしていますね。

メタバースも視野に

今後ぎふの木ネットへ期待することがあれば教えてください。それぞれ違う視点から何かあると嬉しいですね。

広報活動などによって、ぎふの木ネットの会員には優秀な工務店が入っているよということをもっとアピールしてくださるとありがたいことと、ぎふの木を使うことが一番のブランド化ではないかなと思いますので、まずは製材工場を成長させていくつもりで各工務店に協力をお願いして、まずは植樹をするとか寄付をするとかして、新聞社なども使ってイメージ作りをしていけたらいいかと思います。

VR展示場のモクタウンが、入ると非常に良い物件がいろいろ見られてとてもいいと思います。ですがデザイン的な面でもう少し、今だと不動産情報と同じように四角の枠で羅列されているだけで順番に見て選ぶのが難しいと感じます。住宅展示場は結構外観で見るかどうかを決めることが多いと思いますので、例えば本物のような街並みに家が並んでいて入っていくと中が見られるみたいな感じにするともっと本物の住宅展示場みたいになっていいと思います。少しレベルが高すぎるかもしれませんが……。

そこまで行くと下手したらCG・メタバースの世界になるかなと思いますし、他社でそういうようにやっているところもすでにありますから。われわれもそのようなものをいま目指しているところです。でも、こういうのもまたいつか陳腐化してしまいますから、常に最新の技術を取り入れていきたいですね。