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シャルドネ・オフィス

シャルドネ・オフィス 小松社長×ぎふの木ネット協議会会長 吉田会長

「家具から始まる家づくり」から「ものを美しく暮らしに幸福を」へ ―家づくりへのこだわり―

まずはシャルドネさんの会社の特徴についてお伺いしたいですね。例えば何かキャッチコピーとかこだわりとかがあれば、「こんな会社を目指したい」みたいな。

今、まさにちょうどリブランディングをしている状況です。もともと会社では、創業以来天然木の家具屋をやっていることから、「家具から始まる家づくり」をコンセプトとして、天然木の家具を大事にするような家づくりをしてきました。その想い自体は継続して進めていきたいと思っています。ただ、それだけでは社会性の視点が足りていないんじゃないかと思いました。そこでバージョンアップとして「家具職人とシャルドネコーディネートでものを美しく暮らしに幸福を」をブランドパーパスにし、全国の方々へ理念を発信しようと動き始めています。ブランドパーパスに「家具職人」を入れたのは、われわれが作り手さんの想いを伝える伝道師であるべきだと思っているからです。お客様にいいものを伝えることで、それを長く美しく使っていただき暮らしを幸福にしてもらいたい、これを事業目的としていきたいなと思っています。

とてもいいと思います。「家具から始まる家づくり」それだけでも想いは伝わってくると思うのですが、今いろいろな流れ、環境とか省エネとか健康とかが来ていますから、そのような要素も取り入れるとより一般の方に響くというのは確かにあると思います。
続いて、今までいくつも住宅はやっておいでだと思うのですが、御社の住まいづくりのこだわりをぜひお聞きしたいです。

そうですね。住まいづくりに関してはコンセプトの「家具から始まる家づくり」をテーマとさせていただいております。そのためチェアやソファから、あるいはわれわれはキッチンも家具と呼んでいますからキッチンもですが、内装材の家具や木材を好きなものから選んでいただけることを一番こだわっております。ですので、お客様は「このチェアが素敵」といった選び方ができますし、われわれも「このチェアはこんな座り心地です」とかチェアとソファの役割の違いとかをお伝えしています。
キッチンについても、例えば男性の方がスーパーカーを前にしたときのようなドキドキワクワク感をキッチンに立つ奥様に感じていただけたらと思っています。以前には、整理整頓が苦手な奥様がシャルドネキッチンに切り替えたことでお料理が好きになって、お料理教室を開くまでになったなんて経験もあります。もちろん、新しいキッチンにしたこともあるかもしれませんが、はじめに少しでもドキドキワクワク楽しめるように選んでいただけたのが、奥様の幸福につながったんではないかなと思います。
われわれは、住宅メーカーなどによる従来の住宅、箱からつくるような文化に対して、家具から、家の具材から決めることを重点に置いています。ですからショールームでは一点一点想いがこもった商品を丁寧にお客様に伝えていくのがわれわれの仕事なのではないかと思っていますし、これを全スタッフに伝えきれているかは難しいところがあるかもしれないですが、そういう接客を心がけています。

メインのこだわりはそういった感じなのですね。ほかに住宅についてのこだわり、構造であったり家自体の性能であったりについてのポイントなどはありますか?

それについては3点、住宅でいう建材と断熱と構造にこだわっています。まず建材については、無垢床だったり、壁に珪藻土、最近は木の塗り壁材も使ったりとマテリアル部分はなるべく自然なものを使っていくようにしています。ただ、自然のものを使うとちょっとだけ和のテイストに近くなるので、なるべくホテルライクであったり少しきらびやかに見せるようなデザインだったりになるようにしています。
2つめの断熱性能につきましては、東北地方基準のUH値0.56を最低基準とすることを徹底して家づくりをしています。他にもZEHであったり太陽光発電や蓄電池であったり、いろいろなエネルギーの問題が出てきている時代です。例えば太陽光発電や蓄電池をつけても素敵なデザインにみえるようなものや、「災害時でもうちの家は停電になりたくない」という声も最近多いですので、これから次のバージョンアップに向けて力を入れていきたいなと思っています。

うんうん、確かにそうですね。

3つ目の耐震基準に関しては、構造軸とか筋違いとかいろいろな話が出てきたり、考え方もそれぞれあったりと思うのですが、まず対お客様で分かりやすいのが耐震等級3だと思っておりますので、耐震等級3相当の構造を最低基準にして進めていこうと思っています。

3つの構想 -これからの事業展開-

続いてはこれからの御社の事業展開について、話せる範囲で結構ですのでどのような方向で事業を伸ばしていこうみたいなことをお聞かせ願えませんか?

吉田会長にはもう包み隠さずオープンにお話しします。これから大きく3つのことに取り組んでいこうかと思っております。
1つ目はFC・VC本部の計画を進めていきたいと考えています。現直営店も100棟ビルダー・200棟ビルダーというわけではないのですが、ものの考え方は1棟でも10棟でも100棟でも同じで、そこに真髄があるかどうかだと思います。その想いを持って地域の工務店さんが10戸から20戸を安定して受注できるブランドをつくってきたいなと考えています。また、計画を進めるもう一つの理由はアフターケアです。私はこれまで450棟近くシャルドネの岐阜店で家づくりをしてきましたが、年間100棟・200棟・300棟とアフターケアがどんどん溜まっていくので、お客様の対応が確実に悪くなってしまうのが目に見えて分かります。ですから、1社で頑張るよりも10社20社30社、ないし100社と、地域で頑張っている工務店の方々と協力・結託したネットワークを作っていきたいと思っています。そのためには、大きな差別化としてオリジナルブランドのキッチンであったりとか家具、建材であったり、先ほども話しましたエネルギーも考えた断熱や構造的な部分を常にバージョンアップしていかなければならないと思っております。そういった高みを目指すといったことも含めてFCVC本部をやりたいなと思っております。
2つ目は直営店ですね。この直営店を確実な旗艦店舗としていきたいなと思っております。何が旗艦店舗化かといいますと、当然ながら構造断熱、あとはデザインクオリティやシステム等ももちろんです。しかし、私がシャルドネで好きだったのはお客様への愛情とかおもてなしとかでございます。私が一番大切にしているのは、もしくは未だになぜ私がシャルドネにこだわっているのか、それは一生に一度の家づくりで私が「一生のお付き合いです」と言ったからには、一生シャルドネにいないといけないと思っているからです。
ただ、当然ながらなにかと難しいこともあります。ですので、そういったブランドにするため直営店をしっかり形作り、全国的なFCVCという形にして世の中でパッと目にしたときに「あっ、シャルドネだ」となるようなブランドを建ててみたいと思っています。今は一つの指標として上場という言葉を出していただいています。
また、「シャルドネというブランドにお世話になるとその後も安心だな」と思っていただけるようにするためにも、直営店をやはり旗艦店としたいと思っています。
3つ目は、やはり家具です。われわれの根幹ともいえる家具の部分は、これからも開発をどんどんと進めて参りたいと思っています。それこそ、テーブルやチェア、ソファやキッチンなどを、時代の変化とともにデジタルシフトしながら、例えばお料理がパパっと作れるようなものをこれから考えていくべきではあります。かといって、利便だけがすべてではないとも思っています。どこのお店へ行っても「木目調」があるように、木は癒しなんだろうなとの思いがあるので、「天然木といえばシャルドネさんだよね」と言っていただけるような、少し無理してでも買いたいと言われるようなブランドにしたいなと思っています。

ありがとうございます。

サプライチェーンのありかた

今、ぎふの木ネットに加入されているいろいろなところでお願いをしているのですが、ぎふの木ネットの活動に対するご意見、あるいはこういうところを改善して欲しいとかこういうところが面白いなどでもいいです。そのあたりのことをちょっとなにかあればお聞きしたいですね。

ありがとうございます。今のぎふの木ネットやモクタウンでサプライチェーンを進めていく流れに関しては、私はすごく賛成です。理由は、今私がFCVCをやりたいのと全く同じですね。1社では生きていけない世の中だと思いますから、例えば資材の一括購入であったりとか、一緒につくり上げる規格化したパッケージングであったりとか、こういったものが少しでもあるとものづくりは必ず良くなると思います。ですから、一般の工務店さんがいいものを届けるための逆算ができるようなプラットフォームがこのぎふの木ネット・モクタウンであるとするならば、すごくいいものだなあと思っております。まさに岐阜って……私は愛知出身なんですけれど、祖父が郡上出身で。

郡上のどの辺りなのですか?

あまり語らない人だったので詳しくは知らないのですけれども、岐阜にもちょっとゆかりがあることはなんとなく思っています。岐阜って80%以上が森林でできている県になるので、木をすごく大切にしているのだなとの想いはあります。私の祖父も山を持っていて、妻も岐阜出身で、そちらでも山を持っていて。ですので、山に行ってたけのこを掘ったこともあります。森林って癒しなんですよね、だからその癒しの部分をこれから日本の中心である岐阜からぎふの木ネットやモクタウンで全国発信できるならば、すごくストーリー性があると思いますね。さらに、偶然東京の方としゃべる機会があったときに、最近はSDGsの家具しか買わないと言ってらっしゃる方もいると聞きました。そうすると、事務机も含めた国産や岐阜県産の杉でも桧でも、そういうものがこれからさらにデザインやパッケージングを綺麗にした状態で届けられれば、世の中に、われわれが思っているパーパスにリンクする。そういった文化で繋がっていくのはすごくいいなと思いました。

なるほど。流行りの言葉で誰が言い出したかは知らないですが、パーパス……パーパス経営とか最近よく言われますよね。パーパスって普通は目的といった意味で使われますよね。
それで、今われわれが具体的に岐阜の木を使うなかで、サプライチェーンという言葉は昔からあります。しかし現実にいろいろと業者をまわったり山の方へ見に行ったりすると、なかなか機能していなくて名前だけのケースが多い。また、サプライチェーンを本当にやろうと思うと、例えば、値段が上がっていくときは直接の変動がない山から買って、値段が下がればまた外国産材をとってしまうように、都合のいいときだけ利用されるみたいなことも起きてしまう。ですから、われわれはやっぱり簡単に戻らない形でサプライチェーンを構築しないといけない。そのためには山や中間の製材、私も中間ですが、と川下のビルダーさんとの信頼関係を構築しなければいけないと思います。
三者間の連携をとっていくにあたり、契約だと互いを縛ってしまいますから、紳士協定くらいで、今年はこのくらい建てたい、ならば製材もこれくらいのあてがあるからこれだけ原木を仕入れようという感じにしたいです。つまりは、今までのプロダクトアウト的なサプライチェーンから、これからはこれだけ必要だから、これだけつくるというような末端から入るデマンドチェーンのような仕組みも持ったサプライチェーンを作りたいのです。そのためにはこの協定を一歩踏み込んだところまですすめたい。そして将来的にはそれらをデジタルで繋げるまでをぎふの木ネットで進めたいと考えています。
これについては最初から広くやらなくともよいとも考えていますが、現在、やはり構造材が問題となっております。例えば桁の場合はすごく種類があって、そのせいでメーカーさんも材を挽く際に歩留まりが気になってしまう。これを3%でも5%でも上げると収益に繋げられます。そういう点でも、安定的にどれくらい必要かが分かるとやりやすい。あとは、1社だけの供給は難しいですから、ある程度製材側も何社か柱とか桁とか得意分野に合わせてわれわれがコントロールしていこうと思っています。サプライチェーンのこのような面についてはどう思われますか?

私も、サプライチェーンの三者間のネットワークを含めたマーケットインの考え方とか、ものを余らせないとか数がちゃんと決まっているとかの点がすごくいいなと思いますし、需要と供給のバランスをとっていければいいと思います。
昔は戦後の焼け野原で家が必要だったという需要と、ハウスメーカーの供給のバランスが合っていた。ですので家がどんどんと建っていました。けれども、今は建売というか、いいものをちゃんと使おうという考え方が少数派になってきているように思います。また時代が変わって、Z世代がどんな家づくりをするのかという話は気になりますね。

三者協定では、仕入れ先をどんどん広げるのではなく、野菜の作り手と同じようにどこの山からどの品質のものが出てきてどこの工場でというのが分かるようにする。そうすることで安心感が持てるようにしていきたいなと考えています。ですから今はここが安いからここから買うというようにどことでも組むわけにはいかない。それで今、クォーター契約ができないかというのを考えています。木材の価格を3か月単位で年4回、決めるもので、価格の乱高下がなかったら前回と同じ価格に決めます。外国産材を商社が入れてくるときはこのクォーター契約で価格が決まりますが、国産材の仕組みはそういう風になっていない。やはり市に出してその時の市場の価格で値段が決まってきます。岐阜県の場合は他の県と違って割と乱高下は少ないですが、やっぱり腰が浅い。クォーター契約だと3か月は値段が上がろうが下がろうが安定して供給できる。この3者契約ではビルダーさんの納得、例えば値段が下がったときも年間の協定に沿ってもらえるかというのが大事になってきます。ウッドショックでもそういうところがきちんとしているところはモノが足りなくなることはなかった。
続いては構造材のパッケージ化についてですが、大手自動車メーカーの多くではいろいろな車種をある程度同じ部品で持ってつくるようになっています。
私は住宅も同じような流れに持っていけたらと考えています。これまでのように個々の大工さんがそれぞれの規格で建てていると、製材所の方にしてみたら半分くらい特注でつくらないといけないから値段も上がりコストダウンにも限界が来てしまう。なかにはこだわりがある家があってもいいと思いますが、セミオーダーをメインにした方が互いにとっていい気がします。すべて規格化すると分譲住宅と同じになってしまいますが、セミオーダーでもお客様の満足度は結構あると思います。昔マンションに住んでいたことがあって、その時に壁紙だけ選べましたが、それだけでもうれしかった気がしましたから。

本当におっしゃる通りで、規格だからできませんではなくて、いいものが欲しくなるようなそういったちゃんとしたものを生み出していけば、必然的にお客様の欲しいものに繋がると思います。ですので、それこそぎふの木ネット・モクタウンの印があるような規格パッケージの家が欲しいですとお客様が来るようにする必要があると思います。

杉に焼印 -ブランド化戦略について-

すみません、今吉田会長からお聞きした話で2つフラッシュアイディアが出てきました。1つ目として、現在私は構造材を規格化する際に全く同じ間取りで外観だけ変わるようなプランを50個くらい作っているのですが、そういうのをぎふの木ネットさんと一緒に企画できたら面白いと思います。規格といっても、外観を変えれば全く違う家になります。お客様も、間取りをみた上で外観を選べるので選びやすいです。
2つ目に、私はぎふの木ネットやモクタウンをブランド化できたらいいなと思っています。岐阜県産材のよさのエビデンスは、例えば岐阜県産材を使った木の塗り壁を使ったら「雰囲気がすごくいい」と褒めてくださったり、ぎふの木ネットの杉材のよさをお客様に説明すると「すごくいいね」と言われたりするようにしっかり揃っていると思います。しかし、ただ岐阜県産材というだけでは「どこで仕入れても同じだ」とか「こっちの方が安い」と言われてしまう。ですので、例えばスギ材に焼印や刻印を入れて、「この焼印の材が絶対にいいんだよ」と言えるようなブランディングをするとわかりやすく伝えられると思います。

焼印というか今、ぎふ証明材に材には刻印がありますね。刻印は全部の材1本1本に入っていなくてもいいとは思いますが、ある程度……メイドイン岐阜みたいなものが分かるのはいいと思います。しかし、焼印は建て方のときしか見ることができないですよね。

建て方のときだけでも、それが届くだけでワクワクがあるなと思います。焼印といいますとこの間、有名なYouTuberの方とコラボして銀杏のまな板を1000枚作ったときに、まな板が一瞬で全て売れたのですよ。まな板にジュッと焼印しただけで。本物の銀杏の一枚板で製材をしたというようなストーリーがあって、焼印や刻印などをしてこれがぎふの木ネット推薦の証明ですとすれば、このブランドロゴが欲しいという方が出てきてブランドイメージができると思います。
あとはしゃべりが上手で構造が得意な方にムービーへ出てもらって、こういう感じでいいものだと説明をしてもらう。そして「何よりもこのロゴがついている」とアピールすればすごくいいと思います。

それはちょっといいアイデアですね。最初私が心配していたのが、シャルドネというイメージが……フランスなイメージになると思うのですが、その中へ国産材を入れるのはイメージがどうなるかしらと、和と洋がぶつかることへの違和感はないのですか?

実際のところ、私たちは例えばクルミの家具とかナラの木ですとかと言っていると和を売りたいのか洋を売りたいのか、お客様に伝わるイメージが変わってきてしまうと思います。ただ、日本の建築に基づいた海外のデザイン性を持つ建物というところに関してはそんなに悪く言われることはないんじゃないかなと思っています。

最近、銘木業界で欅プロジェクトを始めました。欅はチークに匹敵する木だと思っています。堅くて強いし値段も安いですし。でもなかなか使われない。山の方も困っているし、何とかイメージを変えて売り出せないかとしています。今まで欅は和の、民芸調のイメージが強かった。そうではなくて、寿司が外国で「SUSHI」となっているように、欅も塗装するなどしてイメージを変えて、「KEYAKI」として海外へ日本文化として知ってもらうプロジェクトです。 このプロジェクトが、今われわれの業界の中での悲願になっています。これは杉も同じで、いかに付加価値をつけるかとなっていますね。

モクタウンを他の地域へ ―脱炭素とDX・GX―

これから特に、日本全体でこれまで海外でつくっていたものを国内でつくろうという流れができていくと思います。それに、国の方針が脱炭素化へ舵を切っているので、なおのこと国内でモノを調達したほうがCO2の排出が抑えられる話になる。さらに、外国産材は今どんどん資源が減ってきている。逆に国産材は増えていくばかりで。まるで産油国がよそから石油を買っているような感じになっている。理屈から言っても、地元のものを有効に活用したほうが理にかなっていると思います。

私も、国産材を使えば海外に頼る必要もなくなることを地域の工務店さんが理解していけば、国産材を使ってくださるようになると思います。ただやはり地域の工務店は、新しいものになかなか入ってきにくい。ですので、いつの間にか国産材を使っていたとなれる方法がいい気がしますね。われわれもそこの部分は課題と思っておりますので、国産材があればどんどんと使っていきたいとは思います。

今、モクタウンを他の地域に広げようと考えています。シャルドネさんが全国にFCとかVCを考えておられるように、われわれの業界も志を同じくする仲間が同じようにする流れが全国に広がれば、一社でやるよりもパワーが出てくる。そのためのプラットフォームの1つがモクタウンであって、そこからもっともっと情報発信をして、たくさんの方に来てもらって、どんどんと受注をとる。そのためには、単なるDXだけでは簡単に真似されてしまう。ですから、GX、グリーントランスフォーメーションも推し進めていく。つまりは脱炭素とか省エネとか健康とかSDGsとかを組み入れた空間にしていくべきだと思います。そこに参加してみえるビルダーさんをその辺りへの意識が高いビルダーさんと位置付ければ、モクタウン自体もすごく差別化できますし、例えばCO2の排出もある程度意識して数値化するとか苗木を植えるとかといったところまで持っていきたいです。

フォロワーとイベント ―ぎふの木ネットを知ってもらうには―

最後に、今後ぎふの木ネットに期待することはなにかありますか?

今、いろいろとお話を伺っていて、国産材の活用、われわれがスムーズに使えるようなプラットフォームがあるとやはり使いやすいかなと思います。規格化の問題と、欅や杉の取組みについてもすごくいいなと思います。規格の仕組みは建具やテーブルなどいろいろなものに使えると思いますから、国産材で規格パッケージとしてより使いやすい商材になるならばすごくいいと思います。多分、テーブルの場合はやはり、建材より名前が洒落ていた方が良いと思うので、シャルドネのようなブランド名があると使いやすいと思います。

小松社長は結構アイデアがおありだし、得意な分野だと思うので素朴にお聞きしようと思います。ぎふの木ネットの活動はとてもストーリー性があると思うのですが、これを上手くこれから住宅を建てられるような世代に伝えられるようないいアイデアはないですか?

もうすでにやってらっしゃるかもしれませんが、今の世代に伝わりやすいのはやはり木育のイベントなのかなと思います。今はコロナなどでイベントに出られないんですよね。本当はもっと遊びに行かせたい、でも学級閉鎖やいろいろなことがあります。うちもそうなんですが、家に帰ったら結局ゲームをしてしまうのはちょっと寂しいなと思ってしまいます。もっと広々と自由な発想で、木で知育ではないですがそういうところから始めれば、今から住宅を買う世代の方々には伝わるのじゃないかなとは思いますね。

この前、木の塗り壁材を使って消臭ボールをつくるイベントをオンラインでしたら、とても反響がありましたね。さらに、いかにモクタウンに人を集めるかで、少しでも興味がある方を獲得したいと思ってWEB広告をまきました。その際はぎふの木ネット協議会を前面に出さずに、こういう木のある暮らしに憧れませんかみたいな路線で出しました。内容は興味を持ってくれた方にぎふの木ネットから木の塗り壁材を差し上げますと、子どもさんと一緒に手形をつくったり消臭ボールをつくったりしてみてくださいねという形にしました。広告を始めるときは2ヶ月で300人応募してくれたらいいなという気持ちでいたら、初日で1000人を超える応募があって驚きました。先ほどのまな板のお話と同じようなことかもしれませんが、ストーリーが感じられて、無料でもらえるものだったからかもしれません。でも結局、いかに本当に想いがあり共感してくださる人を引っ張ってくるかが大事だと思います。
そこで、先ほどの質問にもう少し追加したいのですが、ぎふの木ネットに興味を持ってくださるような方たちにどういうアプローチをしたら伝わっていくと思いますか? 今回作ろうとしている冊子もそのためのものです。ただの工務店さんの集まりではないよと、地元の木をみんなで使っていこうとの想いがあって、そのためにこういう活動をしたよというのを伝えたいです。例えば、大手ビルダーがいいと思うような一般の方たちの気持ちを変えられるようなストーリーが伝わる必要があると思います。

やっぱり、国産の木がいいということを知っていただくほかないと思います。インスタグラムで、前にいいねしてくれた方をフォローすることでフォロワーが1000人を超えたことがあるのですよ。そのやり方とかをもっといろいろな形でできるのではないかと思っておりまして、結構経費をかけました

それがよかったと。

経費のうち7割を広告費に、3割をプレゼントの経費にしました。プレゼントは、フォローした方から抽選で1名にチェアをプレゼントするキャンペーンをしました。そうしたらそれだけでフォロワーが1000人増えました。めちゃくちゃコスパはいいですよ。キャンペーンの投稿に200コメントくらいつきまして、「私は本当に家具を愛していまして」とか「今ここに椅子があったら感激します」といったプレゼンのようなコメントがいっぱい来ました。それも面白いなと思って、何かきっかけづくりになったなと思いました。

モクタウンでも、同じようなキャンペーンをやってみるといいかもしれない(笑)

いや本当に面白いのですよ、例えば今でしたら数万円くらいまでのものでもいいと思いますし、まずそれで認知してもらうことが大切だと思います。認知・周知しないと。フォロー&この投稿にいいねでプレゼントキャンペーンをするだけで認知や周知ができると思います。フォロワー数が多いということはお客様の安心感に繋がりますし、いろいろなことがあると思いますね。

モクタウン自体にもうちょっとこだわりがある人を集めて、こだわりがあるビルダーさんが集まるところへ結び付けられるようにしたいですね。リフォームでも何でもいいですから。

BtoCの方へ早く認知されるのはやはりプレゼント戦略が一番いいんじゃないかと思います。

こういう想いの部分とかストーリーとかについてはどうですか。

そうですね、知ってもらわないとストーリーも伝わらないので、まずは知ってもらうところからだと思います。私もシャルドネを復活させるときに何度も新聞社の扉を叩きました。それは、まず知ってもらうきっかけがなにか一つ、新聞社にのったというと「あっ、すごいね」といって応援してくれるからなのですね。
だから、まずはフォロワーをどかんと。キャンペーンにしても、それで集まるのは結果的に家具が好きな方なんですよ。プレゼントが欲しいだけの方もいるんですけど、木質が好きな方を一気に集めるにはいい方法じゃないかと思います。