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日本一の大仏と生きた化石の木の話

岐阜県には実は知られていない日本一の大仏があります。

大仏で日本一というとあまりイメージが付かないと思いますが、岐阜県民にもなかなか知られていない密かな大仏様がいるのです。

日本一 乾漆仏の『岐阜大仏』

岐阜県岐阜市の「正法寺」には「岐阜大仏」という大仏があります。
金華山の麓に位置し、建物自体は1638年から現在もなおその姿を残しています。


さて、大仏は様々な方法でつくられます。
木を彫りだし作られる「木像」、土と蝋でつくった空洞に金属を流し込んで作られる「鋳造像」等、様々です。


ここにある岐阜大仏はその中でも「乾漆仏(かんしつぶつ)」と呼ばれる技法で作られております。

乾漆仏は

①真柱を立てる
②木材で骨組みを作る
③竹で骨組みを作る
④粘土を塗る
⑤お経の書いた紙を貼る
⑥漆を塗る
⑦金箔を施す

といった手順で作られています。

その大仏がこちら。

高さは13.63m。顔の長さは3.63m。
座禅の状態の大仏としては日本で二番目に大きいとされ、日本三大仏の一つとして数えられることもあります。

そうこの大仏こそが、乾漆仏で作られた日本一大きい大仏なのです。

一本で大仏支える柱は『大イチョウ』

岐阜大仏を芯で支える一本の真柱。


これはイチョウが使われています。

この柱は大仏を下から上に突き抜け、大仏が13.6mあるので、それ以上の長さの柱ということになります。
幹回りは6尺、つまり1.8mにも及びます。

これだけでも大仏のスケールの大きさが伝わると思いますし、また、それほどの大イチョウがあったということに驚きます。

今日はそんな大仏を支えている『イチョウ』について少しご紹介したいと思います。

イチョウはイチョウ科イチョウ属に属する唯一の樹種で、実は針葉樹にも広葉樹にも仕訳けられないちょっと特殊な樹種です。
またあまり知られていないのですが、化石と同じ姿で現代でも生息している珍しい植物で、シーラカンスなどと同じく、いわゆる「生きた化石」といわれています。

イチョウは皆さんもご存じの通り、黄葉や銀杏で知られていますよね。

並木通りも各地であり街路樹として日本で一番植えられているのはこのイチョウです。
銀杏が採れることも周知されていますが、この実は有毒で食べすぎると危険なのもあまり知らていないかもしれません。

イチョウは実はなじみ深いようであまり知られていないことが多い、ちょっと興味深い樹木なのです。

ひそかに日本一を誇る岐阜大仏は、知られざる「生きた化石」イチョウに支えられて今もなおその姿を残しています。