鵜飼に必要不可欠な舟はコウヤマキで造られている
岐阜の伝統「長良川鵜飼」
岐阜の長良川では、毎年5月11日から10月15日まで鵜飼が行われています。
鵜飼とは、鵜という鳥をたくみに扱い、鮎をとる漁法のことです。
岐阜の長良川鵜飼は全国にある鵜飼の中で唯一皇室御用達として認定されています。
鵜飼に必要な道具はたくさんあり、鵜かごや吐かごといったかご、アカカイという船の中の水をかきだす道具などたくさんあります。
基本的に昔ながらに使っている木や竹を使いつくられているのですが、その中でも一番大きい船はある木でつくられています。
鵜飼船。通称鵜舟は12.50cm×110cm×53cmの大きな船です。
この大きさは江戸時代からほとんどかわっていません。
そしてこの船の材料にはコウヤマキという針葉樹が主に使われています。
コウヤマキとは。
コウヤマキ(高野槙)はコウヤマキ科コウヤマキ属の針葉樹です。
日本しか生息しておらず、地域によっては準絶滅危惧種に指定されている地域もあります。
岐阜では江戸時代に行われた尾張藩による伐採禁止令で、禁止された木曽五木と呼ばれるうちの一つにコウヤマキも入っていました。
材は腐食しにくく、特に棺としては最高級品とされ、木棺として出土しているほどの性能を持っています。
他にも風呂桶や味噌樽などの道具として使用されることがあります。
さて、鵜舟には一部マツやヒノキを使うところもありますが、主にこのコウヤマキが使われています。
一般的な和船はスギを使うことが多いのですが、水に強く、スギよりも丈夫なコウヤマキを使うのが長良川鵜飼の特徴です。
また、この鵜舟には図面がなく、基本的な寸法とお客様の要望、木の状態を全て考慮し、乗りやすい船をつくっています。
未来へと繋げる
鵜舟にコウヤマキを使ったのは、木曽地域に良質なコウヤマキがあったからとも言われています。
岐阜にある木を理解し、その木材の特性を理解し、まさに適材適所といったような木材の使い方は現代の私達にも学ぶところがあります。
鵜飼だけでなく、岐阜の伝統と結びつきの深い岐阜の木を、今後もうまく利用してくことが大切です。