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世界遺産「白川郷」を支える木

昔から人間と結びつきの深い木

クリは昔からその実が重宝されてきました。

これは縄文時代の初期にさかのぼっても貝塚からクリが出土するほどなので、人間と深く結びつきのある樹種であるといっても過言ではありません。

クリはブナ科クリ属の落葉広葉樹です。
一般的に山に自生するものをヤマグリやシバグリと呼びますが、それを品種改良し、現在見ることがある栗畑のクリがあります。
この実は栄養価が高く、実が熟すまでの間外敵から守るためにイガがついているといわれるほど、その実は人間だけでなく動物にとっても人気です。

そして、岐阜でクリといえば「栗きんとん」が有名です。
中津川市、恵那市は栗きんとんの発祥の地ともされて栗きんとんのお店は市内に20カ所以上あります。その中には100年以上の歴史を持つ老舗店もあります。
栗きんとんの発祥は江戸時代後期にさかのぼり、栗と砂糖だけを使ったシンプルな味わいが人気を根付かせました。
中津川には中山道も通っており、その昔旅人にふるまわれていたことが容易に想像できますよね。

クリの収穫量も全国TOP4と岐阜と縁のある木だといっても過言ではありません。

世界遺産「白川郷」にも使われるクリ

さて、縄文時代から活用されたのはクリの実だけでなく、材も活用するために人は山を管理していました。
その当時の建築物、竪穴住居でもクリを柱として建物に利用していたのです。
青森県にある三内丸山遺跡では、クリ材の柱が6本発掘されています。

なぜ、クリが使われたのか。
それは、竪穴住居に使われる柱の条件に関係がありました。
柱は根元が地中に埋まるため、腐りにくく、シロアリに強く、強度が高い木材が求められました。
その全てに当てはまる身近な木材がクリだったのです。

そんなはるか昔から使われてきた建築材としてのクリは、現在では使われることも減っていますが、岐阜県では今でも建築材として使っている建物があります。


世界文化遺産「白川郷」です。


岐阜で唯一有形の世界遺産「白川郷」は岐阜県の大野郡に位置し、岐阜が誇る合掌造りの集落群です。

この合掌造りは豪雪地帯だからこその家の構造をしており、屋根が大きく傾斜しているのは雪が積もっても家をつぶすことなく、自然と落とすためつくられています。
そんな白川郷の合掌造りに使われる材は実はすすがつきすぎてすべての材を判別できてはいないのですが、柱はケヤキ。梁はマツ。水回りにはクリが使われています。
これは、クリが硬く、また水にも強い耐久性のある木材だからです。

人はその木材の性質を理解し、まさに適材適所といったように利用してきました。
ぜひ、家を買うときはその木材についても興味をもってみてください。