森と国産材の繋がり
森の役割
水源かん養機能
今まで国産材があまりにも使われてこなかったのは、戦後に植えた木が若いうち木材として使えなかったので、外国産材を使おうと輸入を始めた結果なのです。また、当時日本の木材生産の水準があまりにも低すぎて、サイズも品質もバラバラで使いにくいとなってしまっていた。外国産材の方がいいとなっていたのです。
土砂流出・崩壊防止機能
森林の土砂は、木々が網の目のように根を張り巡らせることにより固定されており、大雨の際も土砂崩れや土石流を防いでいます。また、強風や潮風から私たちが住む地域を守る機能もあります。
地球温暖化防止機能
木は光合成をして、温室効果ガスの二酸化炭素を取り込みます。取り込まれた二酸化炭素は木の幹や枝などに炭素として固定されます。また、大きく成長する若い木はより多くの二酸化炭素を吸収します。このようにして、森林の木々は大気中の二酸化炭素を調整する機能を持っています。
現在、政府は温室効果ガスの排出量と吸収量を差し引き全体としてゼロにして温暖化を抑える「カーボンニュートラル」を推し進めています。これの達成には日本の森林が必要不可欠なのです。
「全体としてゼロ」というのは、人為的な二酸化炭素など温室効果ガスの「排出量」から、植林、森林管理などによる「吸収量」を差し引き、合計を実質的にゼロにすることを意味しています。この図では、排出量と吸収量が同じ量になっているため、カーボンニュートラルが実現できているといえます。
生態系を守る機能
森には樹木をはじめ、各種植物や動物・昆虫、菌類や微生物などさまざまな生物が暮らしています。森林はそれら多様な生態系を育み、守る場でもあります。
資源としての機能
森林は木材だけでなく、きのこや山菜などさまざまな資源を与えてくれます。
国産材を使うとこんなにいいことが!
森を守れる
国産材を積極的に使うことで国産材の需要が高まれば、日本の森へ多くの利益を還元できます。十分な利益があれば、森の適切な管理や林業従事者の環境改善、林道の整備など森の周りをよくするための事業を行えます。森の周りがよくなれば、良質な木材を育てる力につながり、森を守ることに繋がるのです。
地域を守れる
森林には災害防止や水源のかん養などとても多くの機能があります。近年の土砂災害や洪水の増加に対応するには、良質で強い森林の育成が必要不可欠です。国産材を積極的に使い、森を守ることは、私たちの住む地域を災害から守ったり、きれいな水を守ったりすることに繋がります。
地球を守れる
積極的に国産材を使い、国産材の需要を高めれば、伐採時期の木を伐って新しい苗木を植える森の循環を促進できます。若い木は多く二酸化炭素を吸収しますから、脱炭素やカーボンニュートラルの実現、そして地球温暖化防止の強力な味方になります。
また、遠く海外から木材を運ぶよりも近くの森の木を使う方が輸送時の二酸化炭素量をより減らせます。
丈夫な家になる
家の構造を支える構造材は、家具や内装と違って一度建てたら交換ができません。加えて、日本は地震や大雨などの災害が多く、高温多湿でシロアリも多くいる住宅にとってはハードな環境の国です。安定した環境で育てられた外国産材の中には、厳しい日本の風土に合わず腐りやすくシロアリに弱いものもあります。国産材は日本の土と環境で育っていますから、耐久性や性能を考えるとベストな選択肢になるのです。
地域の工務店を応援できる
近年、大手ビルダーの台頭により、地域密着型の中小工務店・建築業者は厳しい時代に入っています。そんな中小の業者を応援する方法の一つに、国産材を使うことが挙げられます。大手ビルダーは、同じ木材を大量に要するため外国産材を使うことが多いのに対し、中小の業者だと国産材の使用にも柔軟に対応ができます。すなわち、国産材を使うことは地域の中小工務店を応援することにつながります。