構造材に使われる木の特徴
構造材に使われる木材には調湿、抗菌、消臭、リラックス効果等の特徴があります。
これらの特徴を備えた木の家は、より快適な空間を作り出すことができます。
調湿効果
木材には、湿度が高いときには水分を吸収し、低いときには水分を放出することで湿度を一定(約60%)に保とうとする調湿効果があります。これは、木材が他の建材よりも多く水分を含んでいるからです。例えば、10.5cm角のスギ材でできた柱1本でビール大びん2.5本分、約1.6ℓもの水分を蓄えており、そのうち20~40%程度が柱を常に出入りしています。
木材の調湿効果を活用すれば、室内の結露や乾燥、住宅の傷みを防げます。また、適度(約60%)な湿度下では、カビやウイルス・細菌の増殖を抑えられるとのデータもあります。さらに、エアコンの負担も減らせるため節約や省エネにもつながります。
抗菌効果に優れた木
動物と違い自力で動いて身を守れない木は、「植物性の殺菌成分」を意味するフィトンチッドと呼ばれる成分で自分の身を守っています。このフィトンチッド、細かい成分は木によってさまざまですがその多くで大腸菌や黄色ブドウ球菌などへの抗菌・防カビ作用が認められています。例として、ヒノキのフィトンチッドの一種、α-カジノールには、虫歯の原因となるミュータンス菌への抗菌効果が確認されています。また、老人ホームでの怪我や心身の不調についての調査で木材を多く使っている施設の方が、インフルエンザ患者やダニ等によるかゆみを訴える入居者の割合が少なかったとの結果もあります。木材は病原菌を寄せ付けない素材ということで内装を木質化する病院も出てきています。
消臭効果にも優れた木
木には自然な消臭効果があります。その理由の一つに、これまたフィトンチッドがあります。フィトンチッドが得意な臭いには、アンモニアやホルムアルデヒドなどがあり、特にアンモニアと木を微粉砕した製品を使った実験では、公衆トイレの平均の2倍の濃度(10ppm)ものアンモニアを2時間でほぼゼロにしたとの結果が報告されています。また、フィトンチッドの多くはすがすがしい香りを発しますので、消臭した後の空間をさわやかにしてくれます。
木の香りでリラックス&免疫アップ
フィトンチッドの効果は抗菌だけではありません。フィトンチッドを使った実験では、木の香りにより血圧が低下し、脈拍も落ち着くといった結果が出ていたり、森林浴を使った実験では、ヒノキのフィトンチッドが体内でがん細胞などに作用する「ナチュラルキラー細胞」を活性化したとの結果が出たりしています。さらに、マウスを使った実験では、薬品で記憶障害を起こしたマウスに木の香りをかがせたところ、記憶障害やそれにともなって起きた軽いうつ状態が改善したとのデータもあります。